虎ノ門大坂屋砂場、1872年(明治5年)創業で百年以上続く老舗で、現在の店舗は関東大震災直前の1923年(大正12年)に建てられたもので、登録有形文化財です。
創業は大阪で、豊臣秀吉が大坂城を築城した際に砂置き場に開店したことから砂場という名前がつけられたそうです。その後、徳川家康の江戸城築城時に江戸に進出したとのことです。大坂城の築城は1583年~1598年ですから、砂場の歴史は400年以上ということになります。
6時ごろ店に入ると席はほぼ埋まっていましたが、待つこともなくすぐ4人掛けの席に座れました。混みすぎず寂しすぎずの適度な活気があり、お客さんもみな楽しそうで、店の雰囲気がとても良いです。
まずは田酒の燗をつけてもらいました。
それから、そばみそと玉子焼きを注文。
店の方の対応も気持ちがよく、ゆったりとくつろげます。
磯自慢、〆張鶴と飲み進め、最後は玉子とじそばで締めました。
オーソドックスな二八蕎麦で、コシ強め、つゆ甘めといったところでしょうか。
酒も肴も美味いです。
が、なんといってもここのいいところは店の雰囲気です。
気持ちよく飲めました。
ところで、江戸前そばには「更科」「藪」「砂場」の御三家と呼ばれる系統があることはご存じでしょうか。砂場をご紹介したついでに御三家の概要を簡単に整理しておきます(諸説あり)。
<更科>
信州の布屋だった堀井清右衛門が祖。そば打ちの腕前に長けていたことから領主にそば屋への転身を勧められ、江戸に「信州更科蕎麦所 布屋太兵衛」を開いたのが始まりとされる。更科の「科」の文字は、領主の保科家に由来するとのこと。
更科そばは、実の中心のみを使って打つため、高級感あふれる白さ、上品な味わいと繊細な喉越しが特徴。つゆは淡く甘め。
<藪>
団子坂にあった「蔦屋」が発祥と言われる。藪に囲まれていたことから、『藪そば』と呼ばれ、それが店名になった。
そばの実の外側にある甘皮を適度に挽き込むため味が濃く、それに合わせてつゆも濃い目に仕立てるのが伝統で、辛さは御三家随一。つゆをちょっとしかつけない食べ方が江戸の粋な蕎麦の食べ方とされるが、これは「藪蕎麦」のつゆが塩辛かったからと言われている。
<砂場>
前述の通り砂場の発祥は大阪。藪と同じく砂場は通称で、大坂城築城の際の資材置き場だった砂場近くに店があったことに由来する。江戸時代中期に江戸に移った。
蕎麦のコシが強く、つゆは甘くて濃い目。
余談ですが大阪には砂場の暖簾を継ぐ店は残っていないとのことです。
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