グレンリベット
ツアーも3日目、ついに最終日を迎えました。お世話になったトムさんに別れを告げて、Ardoconnel Houseを出発。昨日と打って変わってあいにくの曇り空のなか、グレンリベット蒸留所に到着しました。9時半のオープンに合わせて来たのですが、まだ蒸留所は閉まっている様子。しばらく周辺を散策しました。
「グレンリベット」は、ゲール語で「平穏な谷」という意味。リベット川に続く緩やかな谷に建つこの蒸留所は、豊かな緑に覆われた美しい自然に囲まれています。1824年にグレンリベットが政府公認第一号蒸留所となった当時、酒造に適したこの地域は1世紀以上続く密造酒の1大産地でした。そんな中でリベット谷一の密造者であるジョージ・スミスが、政府公認蒸留所としてグレンリベットを創業したのですから、当然酒仲間から裏切り者と見なされました。蒸留所が焼き討ちされ、スミス本人も命を狙われたとのことです。そのため常に2丁の拳銃を持ち歩いていたという物騒な話も残っています。
しばらくすると蒸留所の扉が開けられ、見学ツアーが始まりました。
ここの大きな特徴はノンピート麦芽を使用していることです。それを木製の桶で発酵し、背の高いランタンヘッド型ポットスチルで蒸留するという、伝統的な製法を守っています。仕込み水として近くに湧くミネラル分豊富な「ジョージーの湧き水」を使用し、熟成には、アメリカンオークとヨーロピアンオークを使用。これらが相まって、フルーティで繊細、上品な独特の味わいを生み出しているとのことです。
「シングルモルトの原点」、「シングルモルトの歴史」などと称されるこの蒸留所は、年間生産能力2100万リットル、ポットスチル28基と巨大な生産能力を有します。生産能力、売上げ、ともに常にグレンフィディックと首位を競い合う、シングルモルトの巨星と呼ぶにふさわしい存在です。