グレンフィディック
シカの絵が描かれた三角形のボトルが印象的なグレンフィディック。グレンフィディックとはゲール語で鹿の谷。1887年にダフタウンの仕立屋の息子であったウイリアム・グラントが20年間勤めたモートラック蒸留所を辞めて、フィディック川河畔に創業しました。1963年、ブレンデッドウイスキーの原酒として使われるだけだったシングルモルトを、この蒸留所が初めて大々的に市場に投入した。「無謀な行為」と批判されましたが、さわやかでフルーティな味わいが人気を博し、現在では世界一の売り上げを誇るシングルモルトの象徴的な存在となっています。
スコットランドで有数の規模を誇る美しい蒸留所は、年間10万人以上が訪れるビジターセンターを有し、観光客に公開された見学コースがあります。3種のテイスティングが含まれた見学ツアーは10ポンド。
年間の生産能力は約2000万リットル、ポットスチル46基、蒸留所にはボトリングプラントが併設されておりここも見学できます。これほどの規模になった今も、ポットスチルは創業当時に設置した中古釜を再現し、ガス直火炊きにこだわり、アメリカンオーク樽とヨーロピアンオーク樽で最低12年間熟成させる、といった伝統の製法を守っています。また設立当初資金不足のため、家族総出で建設したとされるこの蒸留所を守る家族のきずなは固く、1世紀以上たった現在も家族経営を堅持しているとのことです。これらがグレンフィディックという屈指の名酒を生み出す源なのでしょうね。
蒸留所を見学した後は、12年、15年、18年と3種のグレンフィディックを試飲しました。それぞれに特長がありどれも素晴らしい味わいでした。