3月2日(日)に埼玉県越谷市のサンシティホールで開催された万作の会による「狂言の世界」に行ってきました。

当日の演目は以下のとおり。
1.解説:石田幸雄
観客がより深く狂言を理解し楽しめるように、狂言師が狂言全般と各演目の見どころについて解説。石田幸雄の解説が分かりやすくとてもためになりました。
2.「千鳥(ちどり)」:深田博治、野村太一郎、中村修一
太郎冠者が神事に必要な酒を、代金を支払わずに酒屋から手に入れようとする物語。尾張の津島祭の話を交えつつ、酒屋との駆け引きを繰り広げます。軽妙なやりとりが見どころ。
3.「鬼瓦(おにがわら)」:石田幸雄、岡聡史
長らく都に滞在していた大名が、信仰する因幡薬師に参詣し、屋根の鬼瓦を見て突然泣き出す場面が描かれる。大名と太郎冠者のやり取りがユーモラスな作品です。ほのぼのとした笑いが心地よい演目。

そして最後の演目「二人袴(ふたりばかま)」:野村万作、野村萬斎と続く予定でしたが、ここで、高速道路での火災事故のため万作、萬斎親子が開始時間に間に合わないというトラブルが発生したことが知らされた。急遽代役を立て実施となったが、野村万作と萬斎の親子共演が本講演の目玉だったため、会場にやや暗い雰囲気が漂う中舞台が始まる。
4.「二人袴(ふたりばかま)」:石田幸雄他
聟入りの日に、長袴が一つしかない状況で、聟と父親がどのように切り抜けるかを描いた喜劇。親子の慌てぶりとほのぼのとした雰囲気が特徴。
やや残念な空気の中始まった本演目でしたが、代役を務めた石田幸雄他皆さんの演技が素晴らしく、とても見応えがありました。さすが野村家の重鎮、重要無形文化財の石田幸雄です。終わってみればこれはこれでよかったなと思える納得の舞台でした。
最後の演目が終わったところで野村親子が到着。舞台で挨拶して終了かなと思いきや、追加で「舟船(ふねふな)」を演じるというサプライズ。
5.「舟船(ふねふな)」: 野村万作、野村萬斎
主人と太郎冠者が渡し船を呼ぶ際に「ふね」と呼ぶべきか「ふな」と呼ぶべきか、古歌を引用して言い争う。引用される古歌や謡曲の知識がなくても楽しめる演目。太郎冠者が主人をやり込めてしまうところに軽妙なおかしみが漂う。
10分程度の短い演目でしたが、万作、萬斎親子が二人きりで演ずる舞台というなかなか見れない貴重な機会を得ることができ、とても得した気分です。
終わってみれば狂言の多彩な魅力を堪能することができた大満足の1日でした。
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